ハナムスビ オフィシャルブログ

豆料理のレストランを経て、ここ伊那谷で生活を一からスタート 自然の循環の輪に入れさせてもらえるうよう

不在による病

今読みたい本の紹介です。

『寄生虫なき病』
モイセズ・ベラスケス=マノフ著

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エキゾチックな表紙で、
かつ邦題もかなりエッヂが利いていますが、
英語の本題は
『An epidemic of absence』で、
どちらかというと、『不在による現代病』になりますかね。

インパクト重視で邦題を付けたのでしょう、
全体としては『不在』がこの本の主題になっていきます。

自己免疫疾患、アレルギーなどの現代病が、
なぜ近年発生し、増大し、なかなか治りにくいのか?
この疑問に自身で人体実験をしながら解明していくのでとてもスリリング。
専門書に近い一般書です。

ちと難しいですが、病気に関わらず、
現代の「ものの見方」に一石を投じるくらいのインパクトがあります。

それは産業革命から現代にいたる科学、思考形態など、
いわゆる「ものの見方」が限界に来ていて、
その限界をどうとらえるか、
かつ科学という道具で
どうポスト現代(週刊ポストと、週刊現代みたいだね)を観ていくか、
そんな大きなことを妄想させます。

病気であるならば、
これまではその原因を探って、叩く、
ということが治療であり、ものの見方でした。
それが機能していたので当然といえば当然です。

伝染病は下水を配備することで衛生管理をし、
病原菌という原因から遠ざけることで防いだし、
ウイルス感染したら抗生物質で病原菌を叩いて治した。

これらは人類共通の病という恐怖から解放し、
長寿という富をもたらしたことは間違いない、、、

しかし、ここに新たな問題が生まれた。

これが本書の核。

自己免疫疾患、
あるいはアレルギー疾患は何が原因で起きているのだろうか?

新たな疾患、罹患数は増えているのに、
決め手となる原因が全く見えてこない、、、
ゆえに根治ではなく対処療法でしのいでいるのが現状です。

実は、これら新たな疾患は
その原因の「悪さをするヤツ」を探す限り発見できないのです。
というのも、この原因は「いなくなったがゆえ」のものだからです。

僕らの身体から何がいなくなったのか?

・・・原虫や細菌

共生

この言葉に尽きるのかもしれない。

生命誕生から今ここに至るまで、この生命を長らえるため、
人を含むあらゆる生命は外部環境と上手に付き合ってきた。

生きるためのバーター(取り引き)。
特に細菌なんて生命誕生の歴史から言うと大大先輩なわけで、
例えば乳酸菌ならば
「ここ(大腸)に住んでやるから食物繊維分解してエネルギーに変えてやるよ。
そのかわり適度な温度と好物の食物繊維をくれ!」
ありとあらゆる細菌、原虫、ウイルスなどと、
長い長い年月を経ていろんなバーターをして関係をつくってきたのです。

つまり共生です。
お互いの利害関係を補ってこそバランスが保たれる、、、

確かにそのバランスもかなり危うい。
共生できない、身に危険を及ぼすようなウイルスもたくさんあるから。

結核をはじめ多くの死に至る疾患の菌が特定され、
叩かれた。
祈願である殲滅まで追い込んで、、、

衛生環境はよくなり、
抗生物質の誕生により、
人に悪さするヤツはとことん追い込まれた。

ところが駆逐されたのは、
人に悪さするヤツばかりではなかった。
抗生物質などは人に害を与えるウイルスを駆逐するだけでなく、
多くの、長い年月をかけて築き上げてきた平凡な共生関係にある菌まで殺してしまう。

つまり、原因の排除の結果、
多くの共生関係までをも破壊してしまったのだ。
これら疾患は、その共生関係の崩壊、
菌や原虫の不在による不均衡の結果だと本書は言う。
排除しすぎたのだ。

本書はそれを精密な調査、統計による比較、
最新のDNA分析から導きだている。

なにしろ自分の自己免疫疾患を自ら寄生虫に感染して治してしまうのだから!

進化から生物学を見ていく視点も新しい。

解説で生物学者の福岡伸一はこういう。

―生物学の大きなテーマが「存在」から「不在」へと舵を切らざるを得なくなっている
というパラダイムシフトを、有無を言わさぬ膨大な例証によって突きつけられている―

何億年と積み上げてきた共生関係が、
目に見えないところで一気に崩壊している、、、

不在を埋めるためにどうすればいいのだろうか?

それがこれからの問題定義になるのだろう。

しかしこれは悩ましい。
キレイになったのに、わざわざ不潔にすることはどうにも難しい、、、

ただ、過度な除菌はやめた方が良さそうだ。

希少な動物が地球からいなくなることだけを憂いている時代ではなさそうだ。
実は自分の周りから菌が消えていっているということが、
目には見えないけれど、もっとも大きな問題になってきている。

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