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ハナムスビ オフィシャルブログ

豆料理のレストランを経て、ここ伊那谷で生活を一からスタート 自然の循環の輪に入れさせてもらえるうよう

田植えをしない5月を過ごす

今年は田植えしないけど、どんな気持ち?
ふと、7歳の娘に尋ねた。

「・・・なんとも言えない気持ち。」

はっきりとしない返事に、続けて聞いてしまう。
お友だちが来なくて寂しい?
ちょっとは田んぼに入りたい?
土日に遊ぶ時間が増えるから嬉しい?
自分たちのお米が食べられなくて悲しい?

娘は少し考え、全部そんなかんじだけど、と前置きして
「心の言葉は、言えないんだよ。
心の中では変な英語みたいな言葉でしゃべってるから、何か違うの」
と返ってきた。

そうなのか!

年齢よりしっかりしているし、話も大人びている娘。
ついつい油断していたけれど、確かに心の中のことを言葉に表すのって難しい。
語彙力、というだけでなく、気持ちを表現すること、相手に伝えること…
大人だって苦労する。

ましてや
人間関係や新しい体験を通して、複雑な感情を味わっているだろうお年頃、
「楽しい」「嬉しい」「悲しい」
と表すだけでは足りない、深い様々な気持ちを抱えているのでしょう。

ただ、それを「変な英語みたいな言葉」と言ってくれたことに、感心した。
それはたぶん、今の娘だからできる表現。
「お母さんは、心の中は日本語でしゃべってる?」と聞かれたけれど!
私も小さい頃は気持ちに言語を必要としなかったのかな。あぁもう覚えていなくて残念。

今年は(おそらく数年間は)ハナムスビでお米作りをしない。
それは、現在の家族の状況を考慮してのことだけど、
やっぱり寂しい気持ちはある。
やるかやらないか、どちらかしか選択できないし、
もし今年も稲作をしていたら後悔することになったと想像できる。

お米作りを「しない」ことにした理由は説明できるけど、
そのことに対する気持ちは私も複雑で、語るには時間を要する。

そして、思ったことを正確に表現するなんて実際にはできないんだよなぁと
気づかされた。

伊那谷来る前も、ずっとピースシードさんの田んぼを中心にお米作りに関わっていたから
子どもたちがお腹にいるときも、背中におぶってでも、田んぼに入って作業していたから
こんな静かな4、5月を過ごすことはなかった。
(いや、十分やること満載ですけどね)

あちこちの田んぼに水が張られ、苗が植わっていく。
今年は、それを眺めるだけ。

美しいけれど、切ない。

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去年の青空と田んぼ




今年のお田植え、そして。

来年は田んぼ借りないことも考えている

と、カズさんが言った。
今年のお田植えをする直前で、まだ来年をどうこう決めるときではないのだけど、
それを聞いてから稲作に関わってきた年月、情景、言葉、感覚を思い返した。

初めて千葉県香取市のピースシードさん(ノリさん、マリさん)の田んぼに行ったのは
もう10年以上前になるのかな。
それから数年間は、田植え・草取り・稲刈りの3大イベントには必ず通った。
手で植え、手で雑草を抜き、鎌で刈る。ほとんどヒトの手による作業。

泥に入るの、気持ちいい!
太陽の光、体を涼ませてくれる風、鳥のさえずり、自然の中って心地いい!
身体を動かし、食と関わることの尊さに気づく。
ひと苗ひと苗を土に差し込むとき、食に対するありがたみを感じる。
小さかった苗が背丈を伸ばし、やがて穂が出て、黄金色になるさまは美しく、力強い。
そして収穫したお米のみずみずしく美味しいこと!
体験した人にしかわからないだろう充実感、満足感。

そのうち種から苗を作ることも教わり、仲間といちから作業した年もあり、
ハナムスビで人を募ってノリさんの田んぼのお手伝いをすることでまた新たな出会いがあったり…

伊那谷に来てからも、ご縁で早速田んぼを借りられた。
初年は飯島町、去年から自宅近くで。
「お田植えするから来てください!」と言うと、関東から何人も集まってくれた。草取りも、稲刈りも。

2017年も、不動前ハナムスビからお付き合いくださっているガーデンマスターさんとそのつながりの方、
古くからの友人が手伝ってくれて、5月27日から3日間で、約1.3反の田んぼに苗が並んだ。

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今年は、地元のおばあちゃんが突然現れさささーっと往復で植えてくれたり、
娘の友人がキャーキャー言いながら植えてくれたり、予期せぬゲストとの作業もありました。


来年、もしかしたらお米作らないかもしれない。
そのことを考えながら田んぼに入った。

稲作があることで、時間が取られることは確か。
畑もあるし、子育てもあるし、もう限界だと嘆いている自分がいる。
でもいざこの営みが全くなくなってしまうとなると…

収穫する喜び。
新米を口にするときの楽しみ。
大切な人たちに食べてもらえることの幸福感。

んんん。やっぱり稲作を全くしなくなってしまうと、味気ない一年になってしまうかもしれない。

そして改めて問う。
どうして手で作業するのか。

農薬等、食の安心のため、もある。
体験で得られるもの、もある。
でも一番は
賛同してくださる皆さん、手伝ってくれる皆さんの想いがハナムスビのお米に宿り、
そしてそれを食べてくれる方の力になる、ということだと思う。

ハナムスビを通して、田んぼを通して、お米や野菜を通して、
カラダとココロが元気になる人がいれば本望。
そう、そのことをもう一度胸に刻んだ。

農作業、ゲストハウス、ワークショップ、整体、そして生活。
そのときそのときで取捨選択は必要で、
何を大切にする?何かを忘れてない?と確認することは怠らないようにしたい。

まずは今年の苗たちが丈夫に美味しく育ちますように。

☆草取りしてくれる方、随時待ってますー!☆



ハナムスビの稲作のカタチ

今年も来た
と言えるようになった。

この時。

稲の種もみを水につけた。

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始まるな~

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他の種もボチボチ発芽してきた。

苗を大きくして田植えしたいから、
今年は去年より一週間早い。
まだ底冷えするのが気になるけれど、
近く、グッと、一段と暖かくなる日があるはずだ。

始まる。

鳩胸状態といって、
種もみから角が出て発芽した時、
何とも言い難い、スピリチュアルな、共進化の歓びを感じる。
そして全細胞に責任の光が燈る。

ああ、やったる。
やったる。

血管の内圧が上がり、
全身の筋肉がムクっと膨張してきている。
瞳孔開きぎみ、呼吸もやや早く、、、
全体的に交感神経が優位になってきたようだ。

まだまだ。

はやる気持ちと、
いつでも来なさいという心持ち。

そしてあの瞬間を夢想する。
今年は炊きたての銀シャリに何を合わせようかな?
収穫後、新米を口にする、その一口目、
あの瞬間を夢に描く。

今年はシラスがいいかな。

アレコレ考えるだけで脳内幸福ホルモンが充満する。

ハナムスビの米作り

去年はいろんな巡り合わせで、
多くの友人たちに子どもが生まれた。

その離乳食の一口目に、母体の健康にという想いで、
ハナムスビ米を送った。

「これが子どもの一口目に入るのだからぜひ自分の手で」
友人の一人は僕の誘いに一つ返事で田植えに来た。
この気持ちが稲に伝わり、米となり、我が子の口へ運ばれる。
この世に生を受けた子どもに、宇宙の一部であること、循環の輪の中にあること、
この生がこの上ない歓びであることを伝える上でとても大切なコト。

祈り

これが僕らの祈りのカタチなんだと実感した瞬間だ。

僕らの時代は、家族という形が核家族、個という最小単位に切り裂かれてしまい、
僕ら共通の宝である子どもたちは各々で育てるという認識になっている。

自分の子どもを育てる前提は当たり前だけど、
他の触れ合った子どもも自分たちの宝、
現代を共に生きる者として、共に成長していきたい。

語りかけ、話を聞く。
知っていることはシェアし、ときには注意する。

共通の宝だからこそ、その成長を見守り、祈る。

その祈りの気持ちが命の顕現として米となる。
生命の、これからたくさんのものを食べて大きくなっていく物語の中で、
一番最初のその一口目が安心した食べ物で、
かつ多くの人の手が触れた、祈りのこもったものならば、
宝を共に育てるという、
現代分断されてしまった、ヒトとして必要な関係性をムスビ直すことになる。

お米は何といっても主食だからね。

これこれ。
ハナムスビの米作り。

僕らの米作りはたくさんの人が携わり、
その良質なバイブレーションがお米に伝わり、
子どもたちの成長をはじめ、
未来の幸福を創造するものとしたい。

始まるよ。

どうぞハナムスビの米作りに参加して、
みんなの未来への想い、バイブレーションを米に伝えてください。

その場を、雰囲気を作るのがハナムスビの仕事。

今のところ田植えは5月の最終週に予定しています。
空けておいて!

あたらしい未来を創ろう!

穀霊信仰とハナムスビの稲作

稲刈りが終わり、今年の課題が一つクリアできそうだ。
コメの完全自給!

と言っても諸経費やら何やらで市販のお米よりは高くつく。
場代、トラクターでの代掻き、機械レンタル、、、
来年は費用をもう少し下げていきたいけれど、
機械は自分のものではないし、
機械を使わないとなると時間がとられてしまうから、
その頃合が難しい。

できることはある。
来年につなげていこう。

今年も無農薬無施肥、ただただ草取りに追われた稲作だったけど、
やっぱり銀シャリを口に含んだ時の歓びは他に代えがたい。
うまい!
一粒一粒、ストーリーを内包した、美味しいお米ができた。
(もう一つの田んぼのお米、農林48号は乾燥中)

生まれたてのケイゴは問答無用、
母ちゃんの背中におぶられビシバシ草刈りに駆り出され、
イオリはもっともっと遊びたいだろうけど田んぼにとどめられ、
五月から八月まで家族総出だった。

いい。

それでいい。

僕らはそれを学びに来ているのだから。
それと、
僕らハナムスビが目指す米作りは、
コミュニケーションであり、
コミュニティーの再構築であり、
食品が工業製品であることへのカウンターであり、
良質な成長であり、
穀霊信仰であり、
共進化である!

東アジア圏では稲作が農の始まりだった。
農は狩猟採取と違い余剰分を創り出したので、
定住型の生活を発展させ、
都市を構築し、中央集権を生み出し、
現代につながる文化を花開かせた。

僕ら東アジア圏に住む者は、
お米と共進化しながら今に至る。
あらゆる文化はお米が採れたから発展した。

それがまぎれもない事実で、価値でもある。

古代からお米は霊的な力を持つとされ、
天皇即位時には神人共食といって、
お米を利用し神の領域へとトランスする儀式が未だにあるくらいだ。
穀霊信仰は僕らの基本。

日本という地に生きるということは、
好むと好まざるとにかかわらず、
そういう霊的な背景がバックグラウンドにあるということを忘れないでいたい。

だから僕らも、そんなストーリーを背負ったお米づくりをする。

今年はケイゴをはじめ、
多くの仲間に子供が誕生した(する)。
嬉しい限り。
そんな子供たちの離乳食の一発目に食べてもらいたいし、
お母さんの栄養に食べてほしい。
仏さまにお供えしてほしいし、
病気の回復食に使ってほしい。
あらゆる生活の世代を超えたつながりに僕らのお米が役立つと嬉しい。
そして多くの人の健康に、、、

今年は特に多くの仲間に携わってもらった。
田植え、草刈り、稲刈り。
多くの人がこのお米を育てることで、
その良質なエネルギーが次世代の子どもたちへ、
あるいは先祖様たちへの感謝へと繋がるはずだから。
この場を借りて感謝します。
ありがとう!

もっと、もっと。
そんなお米作りを目指して来年もがんばろっと。

とりあえず、大きく一息。

無事収穫できたことに感謝します。

食は生きるということ。
自分が納得のいくお米がとれることは、
生きることが肯定されるということ。

もっと真摯に高めていきたい。


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今年の稲刈りは少しずつ

9月24日は今年1回目の稲刈り。

の予定でしたが…
連日の雨で田んぼはドロドロ、やむなく稲刈りは延期になりました。

都合がつく方は次週に変更してもらいましたが、
ひと家族は週末我が家に来てもらいました。

都心に在住、イオリと同級生の男の子は虫取り網持参。やる気!
当日は曇り空だったので
田んぼまで歩き、来年の種用の稲を鎌で刈ってもらいました。

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ぬかるんでいる田んぼに入り、稲を握って根元をざくっと刈る。
収穫。その言葉の響きは感謝とともにある。

黄金色になった稲穂がさわさわ揺れる。
あんなに頑張ったけれど雑草のあたまがぴょこぴょこ見える。
他の田んぼは雨風の影響で根元から寝てしまった稲が多いのに、
ハナムスビ田んぼの稲たちはしっかりと立った状態でこうべを垂れている。

2本植えにして、間隔をあけて、
田植えに来てくれた皆さんが苗ひとつずつをしっかりと土に定めてくれて、
陽がさんさん照る中、小雨の中、友人たちが草取りを手伝ってくれて、
稲たちは力強く根を張り、実をつけることができました。

あらためて稲たちを眺めると、この半年のことが思い出されます。


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種類が違うと生長も違う。

今秋は、どこもそうだと思うけれど、雨続きで農の予定を立てづらい。
稲刈り、はさ掛け(天日干し)は
人を呼んで週末にまとめてやりたいところですが、
細切れに作業するしかないかもしれません。

「天気に合わせる」「自然に委ねる」
どうしたって、人間の都合で動かないこともある。
農に関わると、それが身をもってわかる。

今回はみんなで15束ほどの稲を刈っただけですが、
その後男の子はカエルやトンボやバッタを追いかけることに夢中。

畑に戻ってからは
雑草に埋もれたカボチャを探し
その晩のバーベキュー用のピーマンやナスを収穫し
ゴマの実のつけ方やミョウガのなり方を知り

たき火の傍で熱さや煙を感じ
空の色がダイナミックに変化していくさまを見つめ
都会にはない静けさに気づき

日常を過ごしているとは違う、隠れたスイッチがONになったと思う。

私自身、「田舎生活」歴は短いので
友人家族の様子を見て、その感動がわかるし新鮮だし、あらためて意識をする。

ずっと天気がすぐれなかったけれど
すばらしい夕焼けを見せてくれた。
星もたくさん出た。
久しぶりに朝日が強い光を放って山から出てきた。
雨が続いたから、晴れた日の嬉しさが何倍にもなる。

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お天気に合わせながら、
稲刈りは10月1日、8日予定です。


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ひとまず倉庫に干しました。


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